前回は、cubeチセの断熱・気密についてお話ししました。

今回は、家を支える骨組みそのもの——構造、基礎、床についてです。
地震への強さ、火災への備え、そして年月を経ても狂いの出ない床。いずれも完成後は目に見えなくなる部分ですが、だからこそ手を抜けない部分でもあります。
「地震・台風」に強い、木の家
意外な、木の強さ
木は、引っ張られる力に対する比強度が鉄の約2倍。圧縮される力に対する比強度がコンクリートの約7倍あります。
※比強度:密度あたりの強さ
cubeチセではこの木を構造材とし、外部からの力を面で受けて分散させる工法を採用しています。
6面体で支える、モノコック構造

世界有数の地震国である日本において、住宅の耐震性は最も重要な基本性能です。日本でツーバイフォー住宅が着実に増えている理由は、ここにあります。
床・壁・屋根が一体となったモノコック構造のツーバイフォー住宅は、地震の揺れを6面体の建物全体で受け止めて、力を分散させます。地震力が一部分に集中しないため、倒壊・損傷の可能性が低くなります。

この構造は、スペースシャトルや新幹線、フォーミュラ・ワン(F1)などにも採用されています。

軸組工法が「柱」や「梁」を点で結合するのに対し、ツーバイフォー工法は6つの面で建物を支えます。
構造の基本は「ダイヤフラム」

面材だけで構成された床は、水平力(地震や風圧で生じる横向きの力)によって大きく変形し、力が建物全体に伝わりません。
一方、モノコック構造の各構面は、強い剛性をもつ面材と枠組材を釘で一体化させた「ダイヤフラム」と呼ばれる強固な立体盤面です。
床をつくる水平ダイヤフラムが、加わる力を各所に分散させて外力に抵抗し、ねじれを防ぎます。壁をつくる垂直ダイヤフラムが、水平ダイヤフラムから伝わる力や上下方向の力を分散して基礎へ伝達し、建物の変形や倒壊を防ぎます。
強風への備え

ツーバイフォー住宅の屋根は、強風に対しても優れた強度を備えています。台風以上に強烈なハリケーンが襲う北米で生まれた工法だけに、独自の工夫が組み込まれています。
そのひとつが「ハリケーンタイ」と呼ばれる、あおり止め金物です。1個あたりの許容耐力は2,303N。風速70mのときに金物1個にかかる力が1,666Nですから、十分な余裕があります。
この金物が屋根の垂木と外壁をしっかり連結し、強風にあおられても屋根が吹き飛ばされないようにします。
また、ツーバイフォーの屋根は全体が一面の構造体となっているため、軒下から強い吹き上げ風があっても持ち上げられにくい構造です。
木は意外と「火に強い」
木は火に弱いとお考えではないでしょうか。実は木の家は、耐火性にも優れています。
燃えても、強度が落ちにくい

確かに木材は燃えやすい性質をもっています。しかし、ある程度の太さや厚さがある木材は、いったん燃えても表面に炭化層をつくるだけ。火が内部まで進行しないため、強度が低下しにくいという性質があります。

700〜950℃に達するといわれる実際の火災においても、実物大の火災実験でこれは事実として確認されています。
木材と鉄骨の比較実験

常温での強度が同一の木材と鉄骨を使った実験があります。
木材は構造材として使われる通常のツーバイテン材2枚重ね(76×235mm)。鉄骨はリップみぞ形鋼(150×75×20mm、厚さ3.2mm)。それぞれに500kgの荷重をかけ、約1,000℃まで加熱しました。
結果、ツーバイフォー構造部材は加熱5分経過してもほとんど変形しませんでした。同じ加熱時間で、鉄骨部材は変形が始まっています。
ファイヤーストップ構造

ツーバイフォー住宅では、火の通り道となる床や壁の枠組材が「ファイヤーストップ材」となって空気の流れを遮断し、上階へ火が燃え広がるのを食い止めます。
床根太や枠組材が一定間隔で組まれている内部構造は、防火区画がいくつもつくられているのと同じ状態です。この一つひとつの区画によって、火の進行はさらに遅くなります。
万一、防火被覆(石こうボード)が突破されても、2重3重の防火機能によって初期消火の可能性が高く、被害を最小限に抑えます。
石こうボードの働き

ツーバイフォーでは、すべての天井や壁の内側全面に、厚さ12.5mm以上の石こうボードを貼ります。
石こうボードには約21%の結晶水が含まれており、炎があたると熱分解を起こして約20分ものあいだ水蒸気を放出します。このため火災が発生しても天井裏や壁の内部の温度が上昇しにくく、構造材が発火点(約450℃)に達するまでの時間を大きく遅らせられます。
床・壁の内部に埋め込まれる断熱材も、火災時の熱を構造材に伝わりにくくします。

隣家で火災が発生した場合、外壁の表面温度は800℃以上に達するといわれますが、ツーバイフォー住宅は優れた耐火性で類焼を防ぎます。
火災保険料にも反映されます
高い耐火性能は、火災保険料率にも反映されています。

火災保険料率の構造区分はA・B・C構造に分かれており、一般的な木造建築物は料率が最も高いC構造として扱われます。しかし45分以上の耐火性能を有する「準耐火構造」のツーバイフォー住宅はB構造となり、火災保険料が木造家屋の約半分に軽減されます。
住宅は「基礎構造」が大事

地盤調査から始まります
住宅を建てる際には、まず地盤の性質・強度を把握し、それに合わせた基礎構造を選定します。

調査結果によっては、基礎のベース幅を広げたり、地盤改良や杭工事が必要になる場合もあります。支持層と呼ばれる地盤強度の高い地層まで、コンクリート杭を打ち込むこともあります。
第三者機関による検査
基礎工事は、根掘りから埋め戻しまで多くの工程を経ます。
cubeチセでは自主検査を行うほか、配筋については第三者機関「日本住宅保証機構(JIO)」による検査を受け、合格後にベースコンクリートを打ち込んでいます。


床下は防湿コンクリートで
防湿シートを敷き詰め、ワイヤーメッシュ鉄筋を組んだうえで、床下全面を防湿コンクリートで覆います。
土からの湿気をシャットアウトし、床下を安定した環境に保つことで、床構造の劣化を防ぎます。
一般的には、コンクリートではなく防湿シートを敷いて砂で押さえる工法が多く採用されています。cubeチセがコンクリートを選んでいるのは、床下の環境が住宅の寿命に直結すると考えているためです。

狂いのきわめて少ない「床構造」
床こそ、手を抜けない
一般的な住宅用の乾燥材は、含水率が20%程度といわれています。ツーバイフォー住宅で使う2×4材、2×6材などの乾燥材も、含水率は19%以下と定められています。
ただし床の構造材に関しては、さらに特別な配慮が必要だとcubeチセでは考えています。
1階や2階の床部分で、木材の乾燥による反りやねじれ、痩せが発生すると、床鳴りといった実感できる不具合だけでなく、建物の強度・耐震性・耐久性にも支障が出る恐れがあります。安く済ませてはいけない部分です。
I型集成材「キーラムジョイスト」

cubeチセでは、1階・2階の床にI型集成材(キーラムジョイスト)という構造材を、お客さまにご説明したうえで全棟採用しています。
一般的には、床の構造材には2×10を使います。2×10も乾燥材であり丈夫な建材ですが、数年経過すると乾燥収縮による反りや痩せが多少なりとも発生します。構造上深刻な問題になることはほぼありませんが、たわみや床鳴りが発生する可能性はあります。
キーラムは単板の繊維方向を平行に並べて積層した構造材で、軸材として優れた機能をもちます。横架材として使用した場合、垂直力(固定荷重、積載荷重、積雪荷重など)に対して、他材料と比べて最も高い曲げ許容応力度が設定されています。
また、構成する単板の厚さが2〜4mmと薄いため乾燥が早く、内部までよく乾燥されています。含水率検査に合格した単板のみを使用しており、製品含水率は12%以下です。
建築基準法第37条に基づく国土交通大臣の認定も取得しています。
[写真:キーラムジョイスト]
7年間、保管して比べました
言葉だけでは伝わりにくいので、実際に比べてみました。

2×10とI型集成材(キーラム)を、7年間そのまま保管した結果です。
出荷時の高さは、どちらも235mm。反りやねじれもほぼありませんでした。
7年後——2×10は見るからに反っており、高さも227mm。つまり8mm縮んでいました。一方、I型集成材はほとんど変化がありませんでした。
ピアノも、本も、自由に置けます
床の構造材に2×10を使うか、I型集成材を使うか。これはお客さまが住宅会社に相談することがほとんどない部分です。それぞれの住宅会社がどう考えているかで決まります。
cubeチセがI型集成材を標準採用しているのは、多少コストが上がっても採用する価値があると考えているためです。

反りや痩せが発生しにくいだけでなく、ピアノや大量の蔵書、水槽といった重たいものも自由に配置できます。間取りを考えるとき、「ここにピアノを置けるか」を気にしなくて済むのは、暮らし始めてから効いてくる部分です。
まとめ
構造、基礎、床。いずれも完成すれば見えなくなる部分です。
見えないからこそ、判断が難しい。だからこそ、どう考えてつくっているかをお伝えしたいと思いました。
cubeチセでは、屋根材や窓についてもこだわりがあります。それぞれ別の記事でお話ししていますので、あわせてご覧ください。
北海道十勝・帯広でヨーロピアンカントリーテイストの家づくりを行っている住宅会社・cubecise(キューブチセ)です。
